影武者の潜んでゐたり草いきれ
考古学者炎暑の谷へ降り立ちぬ
祭髪大きな声で飛び出しぬ
モナリザの微笑みの奥より驟雨
明易しソファの硬さの淋しくて
一つづつ嘘は剝がれて西日窓
烏瓜咲きて未接続のわたし
落ち着きのなき後ろ脚源五郎
達郎のリズムに夏の波光る
精霊の眠り覚まさぬやう氷河
エデンには遠く石榴の花ひらく
短夜やドリンク剤の硬き蓋
戸籍謄本一枚の生花ゑんじゆ