えご散りて天国一歩遠くなり
結葉の道讃美歌の透明に
アカペラの四声の輪よ麦の秋
囁きのやうな湯煙花ざくろ
薔薇園の己に飽き始めてゐる
のたうちて蚯蚓は明日を拒否したり
青葉木菟母屋に残る言ひ伝へ
赤に黄に実桜揺るるラプソディ
直立のレッサーパンダ風青し
子どもの日おどおど走るレンタカー
不機嫌な頬日焼け止め擦り込んで
御守りの角のふくらみ暮の春
アステカの仮面の闇よ落椿