ペン先の濡れる銀漢呼んでゐる
閉ぢし眼は月の裏側知つてゐる
裏庭の伝説の池棗の実
誰か私の名を呼んで秋の風
二階より芝居談義や新酒酌む
動脈のごとき根つこや昼の虫
見積に突き合はす顔青みかん
朝顔をおうむ返しに児は褒めて
トロフィーの大きなリボン九月尽
豊の秋マイクに言葉こぼしつつ
川音のふくらむ朝よ黄鶺鴒
長考の棋士のやうなる啄木鳥よ
犬蓼や褒め合ふほどに乾きゆく
虫の夜二段ベッドの上と下