逆光のさよなら八月の扉
いにしへの日本は異国蚯蚓鳴く
はにかみし一輪挿しの菊の花
小鳥来る住宅街の骨董店
みむらさき秘密のひとつこぼれたる
仇討ちの道は色なき風の中
半月は継母の顔かもしれぬ
秋麗や魚の緻密な博物画
身の裡の透きとほりけり新走
処暑の夜テレビの部屋へ集まりぬ
のつぺりと父は笑ひぬ草の花
夢二忌や障子の桟の柔き影