金色のバットを振れば秋高し
だんだんと思ひ出す道墓参
窓の外見てゐるごとき瓜の牛
生身魂月の裏側より戻る
初秋や牛乳パックの口尖る
とんばうに買ひ物袋覗かるる
民宿の小さき灯葉月潮
引き合へる磁石と磁石初嵐
蟋蟀の弾む1DKの闇
とんばうや愛車のドアにかすり傷
立秋や髪を滑りし梳き鋏
秋蟬のこゑの震へし窓辺かな