春霖の途中白紙のページかな
くつきりと躑躅の囲む2号棟
遠足のひとり深海魚と話す
誕生会の薄い冠春の宵
進むほど寄居虫の貝脱げさうに
質問を変へますあらせいとうへ風
こでまりや喫煙所より細き脚
鬼の血のきらりと疼き春疾風
風強き後半戦や八重桜
桜蘂降るよ二人の影に触れ
トンネルの呆けたる口濃山吹
善きことの報せのやうな花海棠
春コート雨の夜空を見上げをり
夕飯のメニュー限界桜東風
花屑の乾く玄関開けるたび
読点は飛花よ句点の落花なら
亀鳴くや店主に会つたことはなく
蝶々やのつぺらぼうの店の跡