新聞のしんなりとして昼の虫
秋ざくら洗濯物の混み合へり
町営の温泉峰に小さき霧
霧雨をほぐさぬやうに天使たち
ペンションの屋根のふつくら蛍草
渋滞の距離伸びてをりゑのこ草
影に影重なつてゐる秋暑かな
栗飯や鼻腔やさしく広がりぬ
はつあきや砂の明るき砂時計
再会を期する眼の爽やかに
星空にソートをかける虫の声
秋の湖扉の重き美術館
ビル群のあをく突き出し厄日かな